出張ついでに週末をロンドンで過ごしてきた。
で、今回のメインイベント。

ウエストエンドのアデルフィ劇場で
ミュージカル
「Love Never Dies」を観る。
アンドリュー・ロイド=ウェバー自ら製作・作曲による、
あの「オペラ座の怪人(The Phantom of the Opera)」の続編。
今月10日が初日だったというから、ほっかほかの新作である。
以下、ネタバレまではいかないが、
一部、舞台の内容や評価に触れるので、
観る前に一切の情報を知りたくないという方はご注意を。
舞台はファントム(怪人)がオペラ座から姿を消した
10年後のニューヨーク。
マダム・ジリーと娘のメグの助けでアメリカに渡った彼は、
斬新な舞台エンターテイメントの興行主として成功を収めている。
一方、ヒロインのクリスティーンは幼馴染みの子爵ラウルと結婚したものの、
夫は酒に溺れ多額の借金を抱える苦しい生活に陥っていた。
そんなクリスティーンの歌声を未だに忘れられないファントムは素性を隠し、
クリスティーンにニューヨークの舞台で歌うようオファー。
金に困っている彼女は夫と息子のグスタフを伴ってアメリカへ渡る。
果たして2人の愛の行方は――というストーリー。
この後の展開も含めて、
ストーリーははっきり言って「昼ドラ」である。
テーマは「愛」と「嫉妬」。
ま、前作もストーカー話だったと言われればそうで、
「オペラ座」は元来昼ドラ的だと言えなくもないのだが、
それにしても怪人の神秘的な部分などはカケラも残っておらず、
単なる男女の三角関係、そして女同士の嫉妬の物語に成り下がっている。
ストーリーがそんなだから、当然台詞も深みに欠ける。
あまり深い台詞を英語で言われても
こっちはわからないわけだが、それにしても。
よって演者の感情表現もありきたりだった気がする。悪循環。
さらに、昼ドラ感に拍車をかけているのは舞台の雰囲気。
「オペラ座の怪人」といえば、豪華な舞台装置や衣装、
劇場の地下を探検する場面などの効果的な演出も大きな魅力の一つだが、
今作は装置にしてもコーラスにしてもダンスにしても、
何と言うか全体が「安っぽい」のである。
前作にはなかった、
カメラ的な「動き」を幕に映し出す演出(←何て言うんだろう?)もあって
わかりやすいことはわかりやすいのだが、
それ以上に「セットを安く上げた」感を強調してしまっているというか。
ニューヨークという舞台設定も、
重厚感に欠けるという意味では
悪い方向に作用してしまったのかも知れない。
…と、ここまで偉そうに辛い評価を連々と書いてきたが。
そこは流石のALW、楽曲はことごとく素晴らしい。
そして、それを歌う主役2人の歌唱力。
特にファントム役のラミン・カリムルーの歌は凄まじい。
イラン出身だそうだが、
どうしたらあんな声が出るのかというほどの音域と声量。
1幕ラストの「The Beauty Underneath」は鳥肌モノだった。
クリスティーンが歌うタイトル曲「Love Never Dies」も名曲。
日本語版は平原綾香が歌っているらしい。
ミュージカルというくらいだから
音楽が重要なのは当たり前なのだが、
今作はそれ以外の要素が厳しかったので
皮肉にもその良さが引き立った面もあるのかも。
劇場で買ってきたサントラCDを繰り返し聴いているが、
やっぱり生で舞台観ながらオケで聴くのとは違うんだなぁ…。
早くももう一度行きたくなってきた。
好きな舞台ってそうなりますよね。
で、各メディアの
評価を読んでみると、
やはり厳しめ寄りの賛否両論といったところか。
今や名作の前作「オペラ座の怪人」も
24年前の初演時には評価は厳しかったというから、
今後ロングラン(されれば)していく中で作品が育てられることに期待したい。
ふと、自分でお金払って観た多分初めてのミュージカルが
ケン・ヒル版の「オペラ座の怪人」だったことを思い出した。
大阪厚生年金会館中ホール。高校生の時だったかな。
ALW阪とはまるっきり違う、ケレン味たっぷりのファントム。懐かしい。
初めてだったから印象が強いのもあるかも知れないが、
あれはあれで好きだった。
で、結論。
やっぱり、舞台は、いい。再確認。